家からシェアハウスへ|リノベーション
在来木造の住宅をシェアハウスへリノベーション。
既設建物の構造の確認をしてきました。
【目次】
昭和53年に新築した建物
今回リノベーションをする建物は、昭和53年(1978年)に新築されました。
昭和53年ということは、旧耐震基準になります。
(新耐震基準は昭和56年|1981年に制定)
(画像はお借りしました)
旧耐震基準の建物は、中地震(震度5強程度)に耐えるように設計されていて、大地震(震度6強から7)に対するチェックはされていません。
本当は耐震診断等をして、それ相応の補強をするのが望ましいです。
今回はご予算等の関係により耐震補強はせず、現況をチェックして、抜いてはいけない柱等を確認しました。
小屋組の確認
小屋組の様子です。天井を一部開けてもらって、脚立にのって背伸びして確認しました。
約40年前の建物にしては、部材もきれいですし、雨漏り等の跡もありません。
地鎮祭の際の「棟札」が掲げられています。
この棟札をみると、40年前の建物に携わった方々の「想い」みたいなものを感じます。
棟木を支える束の下には、しっかりした松丸太の小屋梁が入っていました。
その松丸太を支える大きな梁が間口一杯に飛んでいて、その下の柱、壁はかなり荷重を受けているようなので、
その下の柱や壁は大切にすることにしました。
2階の床組
1階の天井の一部をめくってもらったので、2階の床組の確認も出来ました。(全体ではありませんが)
上に見えているのが2階の床、下に見えるのは、1階の天井です。
小屋裏からの荷重が2階のどの柱に伝わって、2階の床梁に伝わり、そして1階のどの柱へ
伝わっているかを確認しました。
基礎の確認
基礎はブロックではない基礎でしたが、無筋基礎のようです。(人通口の開口より)
住宅基礎が鉄筋コンクリートが主流となったのは、昭和56年の新耐震の翌年、昭和57年の住宅金融公庫の標準仕様の改訂以降からなので、この頃の基礎が無筋基礎というのは、結構普通に見られます。
今回は敷地の外側からみることが全く出来ないので、2箇所ほど床に穴をあけてもらって確認しましたが、
特にひび割れ等は無いように見えました。
土台に関しては防腐防蟻処理がしてあり、居室の床には防湿シートが貼られていました。
なので、床下は比較的乾燥していて、じめじめした感じはありませんでした。
ここの基礎もひび割れ等はしておらず、全体的にきれいでした。
耐震改修の際、参考にした書籍
今回は耐震改修はしませんが、以前、耐震改修をさせて頂いた際に参考した書籍です。
「愛知県木造住宅耐震改修マニュアル」
無筋コンクリート基礎を有筋にする方法もこちらにかかれています。
その他、よくテレビでもやっていますが、アラミド繊維シートや炭素繊維シートを巻く方法もあります。
床水平構面を構造用合板に替える方法などは、実際には胴差しへ掛ける必要があるので、
全部めくってしまわないと、なかなか耐震性をアップさせることは難しいです。
(こちらの書籍は、愛知県建築士事務所協会にて購入出来ます。)
今回は耐震補強はしませんが、必要な柱を取ってしまわないようなチェックをさせて頂きました。
全部めくってしまう訳ではないので、確認にはかなりの時間を要します。
今回も2時間くらいかけて部材を確認し、図面へ落とし込んで、上部構造からの力の流れを確認しました。
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名古屋の建築家はAi設計*山内智恵
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