地元名古屋では有名な方らしいです。
建築士会で講演会があると知り、早速申し込みました。
運良く、通過。(講演会は先週行われました)
久しぶりにナディアパークに行ってみると、聴講者は若い方が多く、
「若い方向け」と案内しているのを聞いて、少し肩身が狭くなる。
一枚の絵のような、何ともすっきりした、という印象の住宅です。
「絵のような」印象を受けたのは、杉下さん自体、絵や、映画のワンシーン
または一枚の写真などから影響を受けておられるようです。
(修道院など)
感銘を受けた絵などについて、自分の作品に取り込む、ということは、
出来そうで、なかなか出来ない。
そこを若い頃から、努力して取り込んできたからこそ、
今の集大成があるんだろうなあと思いました。
お部屋がすっきりして見えるのは、極端に照明が少ない。
窓からの自然光と、食卓テーブルの上にポツンとペンダントがひとつ。
ここまでそぎ落としたからこその、美しさなんでしょう。
ただ、実務に置き換えてみると、照明を極端に少なくする、というのは
出来そうで出来ない。
あとで、「暗い」と言われると、工事のやり直しは相当大変なので、
明るめに設計することが多いです。
(明るすぎて苦情になることはまず、無い)
お施主さんを説得させるのは大変だったのでは、と思うのですが、
杉下さんに依頼する時点で、承知の上なんでしょうね。
LEDを使わない、というお話も驚きました。
確かに白熱灯の良さというのは良く分かります。
私は、文明の利器は使わないと損、という考え方なので、
新しい物、使っちゃうな~、と思いましたが、
確かに修道院にLEDはちょっと似合わないですもんね。
そこも、説得するのは大変ではないんですかね~
実際に杉下さんの建物の現場に伺ったことはないですが、
竣工写真に興味を惹かれた理由として、
その陰影にあるんだ、感じました。
そこでふと子供の頃を思い出す。
私が小学校低学年のころ、常滑の土管などの廃工場を
探検するのが流行ってました。
木造の工場の大きな歯車のような所をよじ登り、
2階に上がると、暗い所から急に視線が開けて、
何も無いガランとした工場に、窓から光が差し込んでいる。
それが何だかドキドキしたのを思い出します。
工場と一緒という訳ではないのですが、何となく、
天井を低くして、光と影のコントラストというか、
確かに住宅って、そんなに全部明るくて天井高くなくても、
十分過ごせるんじゃないか、逆にその方が
何となく落ち着くのではないか、と思いました。
私もいつか、こんなフェルメールの絵のような、光と影のある住宅を
造ってみたいと思いました。
(建築士会の方には、よい講演会を開いて頂いて感謝です。)