名古屋市美術館 特別展「永青文庫 日本画の名品」
パンフレットより
「恐るべき慧眼、旧熊本藩主細川家の16代目細川護立が集めた、日本美術史に残る名品の数々」
永青文庫とは、その細川家に伝わった文化財を保存、研究、公開しているところです。
元総理大臣の細川護煕は、18代目ですね。
前期と後期に分けて展示
今回の展示は、「永青文庫」所蔵品の展示なので、菱田春草だけではなく、横山大観、上村松園、鏑木清方、小林古径など、沢山の画家の展示がされています。
特にその中でも重要文化財、菱田春草「落葉」と「黒き猫」は、前期と後期に分けて展示されています。
前期が「落葉」、後期が「黒き猫」です。
「黒き猫」については、少し前にテレビで放映されていたということもあり、「クロちゃん見たい!」と思っていたので、後期の方へ出掛けました。
菱田春草「黒き猫」とは
菱田春草の「黒き猫」とは、2000x600の掛け軸です。
第4回文展に出品された作品で、当初は違う絵を出すつもりだったのが、着物の色が上手くいかなかったためあきらめて、締めきり直前の5日間で描き上げたということです。
猫って、知らない人をみると緊張して耳を反り返らせて身構え、毛が少し立ったりしますが、その様子がよく描写されていますよね。
このふんわり感は、「裏彩色」と言って、裏からも黒い色を塗ることにより、黒に輝きが加わる技法なんだそうです。
このふわふわ感、なんだか癒やされますよね~
柏の木は1日もかけずに描き上げて、残りの日にちを黒猫の表現に使ったそうです。
猫の目、柏の葉には金泥が用いられていて、緑青のぼかしが青味を残す柏の葉の質感の表現に効果を上げているんだそうです。
「黒き猫」で評価を高めた春草は、翌年36歳の若さでこの世を後にしたので、この作品は、春草の文展最後の出品作となりました。
その他に印象に残った絵画
展示されていた順番に、
●「山荘無月」横山大観
月明かりのない夜の闇の表現と、山荘で読書をする人の部屋の明かりの表現が、おもしろいと思った。
●「柿紅葉」横山大観
柿の葉っぱの柔らかくて半透明で、いずれ散ってしまうはかなさというか、本物の柿の葉っぱは、もっとガサガサしているのではないか、と思うのですが、大観はこういう表現をしたんだなあと。
●「寒山拾得」横山大観、下村観山
細川護立がお酒の席で「大観と観山は仲が悪いのではないか」と聞いたところ、「そんなことはありません」というので、「それなら、合作を作ってみろ」というような紆余曲折あって出来た作品なんだそうです。仲がいいと見せるためだとしても、画家の世界にもコラボってあるんだ~。各々、観山と大観の名がうってあるところも、おもしろい。
●「月影」上村松園
上村松園の作品は、これのみでした。子供がいる女性は眉を剃り落とすんだそうです。
●「三蔵・悟空・八戒」今村紫紅
猪八戒や孫悟空は、そのままの豚や猿の姿なのに、沙悟浄だけは人間の姿だなあ、と。沙悟浄って、かっぱだったよね?
●「孔雀」小林古径
遠目で見ても、色の鮮やかさが目を惹きます。わあ、きれい!という感想です。今年は酉年だし、絵はがきがあったら買いたかったんですが、売ってなくて、残念。
後期は2月26日まで、です。
「黒き猫」、まだ間に合いますよ~
クロちゃん、ぜひ見に行ってください!
場所:名古屋市美術館
〒460-0008 名古屋市中区栄二丁目17番25号(芸術と科学の杜・白川公園内)
電話 052-212-0001 Fax 052-212-0005
開館時間 午前9時30分~午後5時(入場は4時30分まで) 金曜日(祝日を除く)は午後8時まで(入場は7時30分まで)
休館日 毎週月曜日(祝日の場合は直後の平日)、12月29日~1月3日
名古屋の建築家はAi設計*山内智恵
Ai designroom 住所:〒466-0006 愛知県名古屋市昭和区北山町3-12
電話:052-731-3317 FAX:052-731-9353