自動車車庫の増築
【目次】
【ケース1】お庭に鉄骨を利用したガレージを造って、その上を庭にする場合
【ケース1】お庭に鉄骨を利用したガレージを造って、その上を庭にする場合
(イメージ画像はお借りしました)
敷地に余裕がなくて、駐車場もお庭も欲しい!というケースで、そうだ!車庫の上にお庭を造ればいいじゃん!と思いついたとします。
その場合、普通に造れるの?
法的な規制はどうなんだろう、という疑問に対するお話です。
その場合、「法84条の2 簡易な構造の建築物の制限緩和規定」を利用します。
次に、その内容について見ていきます。
【簡易な構造の建築物の制限緩和の条文|法84条の2】
■下記条文から、壁がない自動車車庫で規模が小さいもの(3000㎡以下)は、屋根、外壁などの規定は適用されません。
第84条の2
壁を有しない自動車車庫、屋根を帆布としたスポーツの練習場その他の政令で指定する簡易な構造の建築物又は建築物の部分で、政令で定める基準に適合するものについては、第22条から第26条まで、第27条第1項および第3項、第35条の2、第61条から第64条まで及び第67条の3第1項の規定は、適用しない。
(簡易な構造の建築物に対する制限の緩和)
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(第22条から第26条)→第22条(屋根)、第23条(外壁)、第24条(木造建築物である特殊建築物の外壁等)、第25条(大規模の木造建築物の外壁等)、第26条(防火壁)
(第27条第1項及び第3項)→第27条第1項(別表1欄、1項から4項)、第27条第3項(別表第1(い)欄4項で3000㎡以上のもの)
【簡易な構造の建築物の指定|令第136条の9】
■簡易の構造の建築物に、自動車車庫が指定されています。
第136条の9
法第84条の2 の規定により政令で指定する簡易な構造の建築物又は建築物の部分は、次に掲げるもの(建築物の部分にあっては、準耐火構造の壁(これらの壁を貫通する給水管、配電管その他の管の部分及びその周囲の部分の構造が国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものに限る。)又は第126条の2第2項に規定する防火設備で区画された部分に限る。)とする。
一 壁を有しない建築物その他の国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造の建築物又は建築物の部分(間仕切壁を有しないものに限る。)であって、次のイからニまでのいずれかに該当し、かつ、階数が1で床面積が3000㎡以内であるもの(次条において「開放的簡易建築物」という。)
イ 自動車車庫の用途に供するもの
ロ スケート場、水泳場、スポーツの練習場その他これらに類する運動施設
ハ 不燃性の物品の保管その他これと同等以上に火災の発生のおそれの少ない用途に供するもの
ニ 畜舎、堆肥舎並びに水産物の増殖場及び養殖場
二 屋根及び外壁が帆布その他これに類する材料で造られている建築物又は建築物の部分(間仕切壁を有しないものに限る。)で、前号ロからニまでのいずれかに該当し、かつ、階数が1で床面積が3000㎡以内であるもの
【簡易な構造の建築物の基準|令第136条の10】
■延焼ラインにかかるところは、法22条地域であっても、不燃材料などにする必要があります。
令136条の10
法第84条の2 の規定により政令で定める基準は、次に掲げるものとする。
一 主要構造部である柱及びはりが次に掲げる基準に適合していること。
イ 防火地域又は準防火地域内にある建築物又は建築物の部分(準防火地域(特定防災街区整備地区を除く。)内にあるものにあっては、床面積が500㎡を超えるものに限る。)にあっては、準耐火構造であるか、又は不燃材料で造られていること。
ロ 準防火地域(特定防災街区整備地区を除く。)内にある建築物若しくは建築物の部分で床面積が500㎡以内のもの、法第22条第1項 の市街地の区域内にある建築物若しくは建築物の部分又は防火地域、準防火地域及び同項 の市街地の区域以外の区域内にある建築物若しくは建築物の部分で床面積が1000㎡を超えるものにあっては、延焼のおそれのある部分が準耐火構造であるか、又は不燃材料で造られていること。
二 前号イ又はロに規定する建築物又は建築物の部分にあっては、外壁(同号ロに規定する建築物又は建築物の部分にあつては、延焼のおそれのある部分に限る。)及び屋根が、準耐火構造であるか、不燃材料で造られているか、又は国土交通大臣が定める防火上支障のない構造であること。
三 前条第一号イに該当する開放的簡易建築物(自動車車庫)にあっては、前二号の規定にかかわらず、次に掲げる基準に適合していること。ただし、防火地域、準防火地域及び法第22条第1項 の市街地の区域以外の区域内にあるもので床面積が1500㎡未満のものにあっては、この限りでない。
イ 主要構造部である柱及びはり(準防火地域(特定防災街区整備地区を除く。)又は法第22条第1項 の市街地の区域内にある開放的簡易建築物で床面積が150㎡未満のものにあっては、延焼のおそれのある部分に限る。)が準耐火構造であるか、又は不燃材料で造られており、かつ、外壁(準防火地域(特定防災街区整備地区を除く。)又は同項 の市街地の区域内にある開放的簡易建築物で床面積が150㎡未満のものにあつては、延焼のおそれのある部分に限る。)及び屋根が準耐火構造であるか、不燃材料で造られているか、又は国土交通大臣が定める防火上支障のない構造であること。
ロ 隣地境界線又は当該開放的簡易建築物と同一敷地内の他の建築物(同一敷地内の建築物の延べ面積の合計が500㎡以内である場合における当該他の建築物を除く。)との外壁間の中心線(以下ロにおいて「隣地境界線等」という。)に面する外壁の開口部(防火上有効な公園、広場、川等の空地若しくは水面又は耐火構造の壁その他これらに類するものに面するものを除く。以下ロにおいて同じ。)及び屋上(自動車車庫の用途に供する部分に限る。以下ロにおいて同じ。)の周囲で当該隣地境界線等からの水平距離がそれぞれ1メートル以下の部分について、当該外壁の開口部と隣地境界線等との間及び当該屋上の周囲に、塀その他これに類するもので国土交通大臣が通常の火災時における炎及び火熱を遮る上で有効と認めて定める基準に適合するものが設けられていること。
ハ 屋上を自動車車庫の用途に供し、かつ、床面積が1000㎡を超える場合にあつては、屋根が、国土交通大臣がその屋内側からの通常の火災時における炎及び火熱を遮る上で有効と認めて定める基準に適合しているとともに、屋上から地上に通ずる二以上の直通階段(誘導車路を含む。)が設けられていること。
自動車車庫で150㎡未満の場合(まとめ)
・防火地域、準防火地域、法22条区域内で、延焼のおそれのある部分→はり、柱、外壁、屋根は不燃材料等にする必要があり、延焼ラインから外れるところは、屋根のみ不燃材料等にする必要があります。(はり、柱、外壁は延焼外は規制なし)
(不燃材料の例)→コンクリート、瓦、鉄鋼、アルミニウムなど)
なので、写真のような車庫は、問題なく建てられそうです。
長文になりましたが、基準法にはこんなようなことが書いてありまして、次に、愛知県の例規集、及び、防火避難の規定の内容を見ていきます。
自動車車庫における外壁の開口部|愛知県例規集より
自動車車庫でその用途に供する部分の棟単位による床面積の合計が30㎡以内(同一棟に2以上あるときはその床面積の合計)の場合、その開口部が延焼のおそれのある部分であっても外壁の開口部とはみなさず、防火設備の設置は不要とする
(簡易的なカーポートのような場合)
30㎡以内の車庫の場合、「不燃性の物品を保管する倉庫に類する用途」としてみます。
【ケース2】アルミのカーポートの場合
今はほとんどのメーカーさんが、告示410号の規定に沿うような商品を造られています。
カタログに書いていないものでも問い合わせると、規定に沿っているものがほとんどのようです。(念の為、確認した方がいいです)
今は巾詰めなどのカットも、製作範囲内では自由に出来るようになっています。(カタログの規格外寸法でも、大抵対応可能のようです。ただ念の為、確認してくださいね)
当然のことながら、現場でのカットはNGです(申請図面と現場が違うのは、カーポートにかかわらずNGですもんね)
告示410号とは(アルミ建築構造の告示)
○アルミニウム合金造の建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める件
(平成14年5月14日)
(国土交通省告示第 410号)
改正 平成19年 5月18日国土交通省告示第 607号
建築基準法施行令(昭和25年政令第 338号)第80条の2第二号の規定に基づき、アルミニウム合金造の建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を第一から第八までに定め、及び同令第36条第1項の規定に基づき、アルミニウム合金造の建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準のうち耐久性等関係規定を第九に、同条第2項第一号の規定に基づき、同令第81条第2項第一号イに規定する保有水平耐力計算によって安全性を確かめる場合に適用を除外することができる技術的基準を第十にそれぞれ指定する。
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名古屋の建築家はAi設計*山内智恵
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