アトリエを持つ

17年前、リノベーションを担当させて頂いたお客様の家へ、おじゃましました。

プランニングを担当した当初は、私が29歳~30歳くらいで、今回のご計画のメインである奥様は、最初お伺いした際は、めがねをきりっとかけておられてちょっと怖かったのですが、お話してみると、とても気さくでお茶目な方です。

ご結婚と同時にご新築されたお家のリフォームです。

ご新築後25年くらい経って、子育ても一段落したので元々1階にあった主寝室を2階へ移して、その主寝室をアトリエにされたいというご要望でした。

当初現地調査で、クロゼットから天井点検口を開けて、小屋裏を覗かせて頂いた記憶があります。

設計のポイント

東西に広いお土地で、南側はあまり距離がとれないということと、クロガネモチの木は残されたいというご要望から、部屋の中から見た時に、窓の一つ一つが額縁になるような設計にしてみました。元々の主寝室から、ちょっとだけアーチ状に増築するだけでも、随分と広がりが出ます。

私の拙い絵を、すぐに受け入れてくださったのを覚えています。(東南のアーチ状が増築部分)

17年前のリノベーション直後の写真

【アーチ状に増築した部分】

天井部分の梁は、当初流行っていた発泡スチロールに木のような模様をつけたものか、木調のクロスと悩んで、最終的にクロスになりました。窓は、輸入木製サッシ、マーヴィン社の物で、枠の塗装をするのになかなか思うように色が入らなくて苦労しました。入口の外部ドアは、奥様のお兄様から頂いたものです。

増築したアーチの床は、本当にプランニング通り、テラコッタ風のタイルを斜め張りにしました。

アーチ上のカウンターの下の収納も、画材等を入れて頂いていて、このちょっとした収納が大活躍!

この収納の扉は、造作で造りました。

【和室から、増築したウッドデッキを見る】

このウッドデッキは、和室~アトリエ~庭をつなぐ中間的な役割です。

【増築したウッドデッキを、外側から見る】

写真には写っていませんが、柱の上には、パーゴラ風の梁があって、アーチ状に増築したバルコニーの床へと繋がります。

このパーゴラがまた味があって、いいんですよね~

この玄関ドアは、奥様のお兄様から頂いたものです。

【キッチンはキッチンセットを変えて、壁、天井、床を張り直しました】

キッチンは、白を基調に、床は深い少し緑がかったタイルです。入った正面へニッチをつけて、色々なものが飾れるようにしました。

現在も変わらない雰囲気です

【アーチ状増築部分】

現在も、変わらずステキにお使い頂いています。

【洗面コーナー】

こちらは丁度、筆を洗う為の洗面コーナーです。「筆」ということ、コストを抑える、手作り風にする、という理由から、このシンクは小学校の理科教室用のものです。造作カウンターの上へ設置しました。

この頃私は、三角形の出窓をよくご提案していました。ちょっとした小物を置くスペースとして、また明かり取りとして、役立っています。

細身ながら設けた埋込の飾り棚も、木の塗装した物を使ったので、よく雰囲気になじんでいます。

アトリエの壁は、全体的に漆喰を塗りこんでいます。

【リビングの暖炉】

リビングのコーナーへ、暖炉スペースを設けました。レンガは、当時流行った「レンガ風」のタイルでして、軽くて本物のようにみえます。この柱は、発泡スチロールに木の塗装をしたもので、当時とても流行りました。(最近、見かけないなあ・・)全然劣化もしてなくて、採用して良かったです。置いてある鋳物の暖炉は、奥様ご自身で探してこられたものです。

【アトリエの壁面は、漆喰】

アトリエの壁面の腰板は、当初から設計に入っていましたが、バッテンは、奥様のアイデアです。工事途中で追加になりました。バッテン、バッチグーです。漆喰の壁とよく合います。

【アトリエと和室~庭をつなぐウッドデッキ】

お兄様から頂いた輸入の外部ドアも、良い色になりました。

【和室からアトリエをみる】

和室の飾り棚、奥様の見立てがステキです。

【和室の床の間~ウッドデッキ】

元々あった床の間と、増築したウッドデッキとうまくなじんでくれています。

【お庭の様子】

こちらは、リノベーションの数年後、増設された壁泉です。

まとめ

長年住んだお家を、壊して建て替えてしまうのも一つですが、こんな風に手を加えながら一緒に歳を重ねていく、というのもまたステキな暮らし方だと思っています。

この記事を書いた人

chieyamauchi

やまうち ちえ
愛知県名古屋市で一級建築士事務所を経営しています。
「夢を形に・愛・記憶を未来へ」の経営理念をもとに
設計しています。
どうぞ、よろしくお願い致します!