糸魚川の大火を見て|延焼のおそれのある部分|建築基準法

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今日の糸魚川の大火は、衝撃でした。映画の「吉原炎上」みたいに、現代でこんなに火災が延焼してしまうこともあるんだ、とびっくりしました。

22日の10時半頃通報があって、結局鎮火したのは、午後の8時50分。10時間近く燃えたって、恐ろしい。

燃えた住宅や商店などは約140棟、約7万5千平方メートルが延焼して、744人の方が避難されたそうです。

(その後の23日の新聞で、焼けた住宅や商店などは約150棟に上ると発表。22日よりも10棟増えた。一方、約7万5千平方メートルとしていた延焼の恐れのある範囲を改めて確認したところ、実際に焼けたのは約4万平方メートルだったと明らかにした)

 

延焼のおそれのある部分(通称:延焼ライン)

建築基準法第2条第6号で、もし火事になっても他の家に燃え広がらないように、建物を建てる際には法律で取り決めがあります。

>隣地境界線、道路中心線又は同一敷地内の2以上の建築物(延べ面積の合計が500㎡以内の建物は、1の建築物とみなす)相互の外壁感の中心線から、1階にあっては3m以下、2階以上にあっては5m以下の距離にある建築物の部分をいう。ただし、防火上有効な公園、広場、川等の空地若しくは水面又は耐火構造の壁その他これらに類するものに面する部分を除く。

※ここでいう「公園」とは、いわゆる「どんぐり広場」のような小さな公園は含まれないので注意。都市公園のような公園だけです。

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(「ここまで使える木材」さんより画像をお借りしました)

名古屋市でいうと第一種低層住居専用地域は法22条なので、延焼ラインにかかっている外壁を「準防火構造」にする必要があり、例えば室内側へ9.5㎜以上の石膏ボードを貼るなど、色々な取り決めがありますが、開口部などは、普通のサッシで問題ありません。延焼ラインにかかっていなければ、外壁を木材などにすることも出来ます。

準防火地域、防火地域は、延焼ラインにかかっていると、準防火地域で、外壁、軒裏は「防火構造」にする必要があり、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分には、防火戸その他の政令で定める防火設備を設けなければなりません。網が入っているガラスが、防火設備です。

建築基準法で火災が燃え広がらないように色々取り決めがあるのに、ここまで広がってしまったのは、なぜなんでしょう?

今日の糸魚川の火災も、「ガラスがパン!と割れた」と言っていました。築80年くらいの古い建物が多かったようなので、建築基準法適用前の建物が多かったのかもしれませんね。

飛び火により広がった

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所々、燃えていない鉄筋コンクリート造の建物があり、そこで延焼が止まっているかといえばそうでもなく、今日の糸魚川周辺は、南から日本海へ向かう風がかなり強かった為、「飛び火」により、延焼が広がったようです。「飛び火」って怖いですね。

建築基準法では、火災が発生した場合、火の粉により火災が広がらないように、防火の規定があります。

防火と耐火の違い

※屋根の防火性能→外側からの火を防ぐ

→近隣の火災による火の粉などで、炎が室内に達するような亀裂や燃え抜けが生じないこと。延焼のおそれがある火災が生じないこと。

※耐火性能→建物の内部で発生した火災を、一定時間外部へ出さないこと。その建物が倒壊しないこと。

飛び火認定

防火地域、準防火地域、法22条地域ともに、屋根は不燃材料で葺いてあれば問題ありません。

ある一定の基準を満たさない場合、飛び火認定をとっている材料を使う必要があります。大屋根は、彩色スレート板(通称カラーベスト)や瓦などの不燃材料を使う事が多いので、大抵問題ありませんが、例えばルーフバルコニーなど下に部屋があるバルコニーの床は屋根扱いになるので、「飛び火認定」を受けている材料を使う必要があります。(DR認定。DRで始まる品番)

結構、建物が密集していて、かつ前面道路もあまり広くは無かったようなので火が移りやすく、古い建物が多かったので、今の規準を満たさない建物が多かったんですかね?

避難するように言われて、まさか自宅が全部焼け落ちてしまうとは思っていないので、カバン一つ持って避難所へ向かった方もいらっしゃるようです。ぜーんぶ、燃えてしまったなんて、これからどうされるんだろう・・政府から補助でも出ないと、生活出来ないですよね。

電気やガスも止まってしまったらしいです。

一日でも早く復旧することを、心よりお祈り申し上げます。

 

 

 

 

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この記事を書いた人

chieyamauchi

やまうち ちえ
愛知県名古屋市で一級建築士事務所を経営しています。
「夢を形に・愛・記憶を未来へ」の経営理念をもとに
設計しています。
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